家族連れでバーベキューをすると、必ず引っかかるのが子供の扱いです。ママ友同士の集まりでも、PTAや子ども会の親子BBQでも、親戚一同でも同じです。ウインナー1本で終わる3歳の子と、大人より食べる小学5年生を、同じ「1人」として数えていいのか。
この記事の要点
- 子供を無料にすると、子供のいない参加者が払っています。均等割りと同じ問題が形を変えただけです
- 基準は「お酒を飲まない大人」。小学生はその半額、中高生は学割の発想で0.8〜1.0
- 正解はありません。事前に合意を取ることが一番大事です。金額より順序の問題です
子供を無料にすると、誰が払っているのか
「子供は無料にして、大人の人数で割る」——これが一番よく見る方法です。計算も簡単で、その場で決まります。
ただ、この方式には見えにくい問題があります。子供が食べた分を、子供のいない人が負担していることです。
具体的に計算してみます。大人8人(うち独身が2人、子供連れが6人)、子供6人、総額20,000円のバーベキュー。
- 子供を無料にして大人8人で割る → 1人2,500円
- 独身の参加者も、子供2人を連れてきた家庭の親も、同じ2,500円
子供6人が食べた分を仮に1人1,000円とすると、合計6,000円。これを大人8人で分担しているので、独身の2人も750円ずつ、他人の子供の食事代を払っていることになります。
これは、飲み放題込みの会費を全員で均等に割って下戸が損をする構造と、まったく同じです。違うのは、誰も文句を言わないことだけ。「子供のことだから」と言われると、それ以上は追及しにくいからです。
だから子供にも比率をつけます。無料にする場合でも、それは「子供だから」ではなく「食べる量が少ないから」という理由であるべきです。
食べた量で割るのは、現実的に不可能
正確を期すなら、実際に食べた量で割るのが一番公平です。しかしこれは現実にはできません。
レシートを見ながら「この肉は誰が何グラム食べたか」を按分する。焼きそばは誰が何皿食べたか。バーベキューで疲れて帰ってきた後に、この作業をやる人はいません。やろうとすれば、確認のために全員に聞いて回ることになります。
だから年齢を代理指標にします。誰にでも分かり、本人に確認する必要がなく、その場で判定できるからです。正確さは諦めて、合意しやすさを取るということです。
基準は「お酒を飲まない大人」に置く
比率を決めるとき、まず誰を1.0にするかを決める必要があります。ここではお酒を飲まない大人を基準にします。
理由は2つあります。ひとつは、バーベキューには飲まない人が一定数いること。運転する人、子供を見ている人。飲む人を基準にすると、その人たちが常に「割り引かれる側」になります。
もうひとつは、酒は追加要素だからです。食事が基本で、飲む人がその上に酒代を乗せる。この順序のほうが、子供の比率も素直に決まります。
| 対象 | 比率 | 考え方 |
|---|---|---|
| 大人(飲まない) | 1.0 | 基準。食事の分 |
| 大人(飲む) | 1.4 | 酒代の上乗せ分 |
| 中学生・高校生 | 0.8〜1.0 | 食べる量は大人と変わらないが、学割の発想で下げる(後述) |
| 小学生(対象学年) | 0.5 | 飲まない大人の半額 |
| 対象外の小学生・未就学児 | 無料 | 食べる量が少なく、実額も小さい |
この表の利点は、比率を個別に決めていないことです。「飲まない大人の半額」「大人と同じ」という関係で導いているので、なぜその数字なのかを説明できます。数字を並べるより、決め方を共有するほうが納得されます。
筆者はこう決めています
私個人の考えでは、小学生は3年生から半額(0.5)。中高生は、お酒を飲まない大人と同額(1.0)です。中高生を0.8に下げる学割の考え方もありますが、食べる量が大人と変わらない以上、同額でも筋は通ると思っています。
ただしこの2点が、実際にいちばん揉めます。「3年生から」も「中高生は大人と同額」も、他の家庭が同じように考えているとは限りません。だからこの2つだけは、必ず事前に確認してください。
大人が多いか、子供が多いかで調整する
同じ比率でも、参加者の構成で一人あたりの金額は変わります。総額20,000円で比べてみます。
- 大人8人・小学生2人(比率の合計9.0)→ 大人 2,222円
- 大人4人・小学生6人(比率の合計7.0)→ 大人 2,857円
子供の比率を下げた分は、必ず大人が引き受けています。だから子供が多い集まりほど、大人の負担は重くなります。
調整するとしたら、まずは中高生の学割を適用するかどうかです。ここを動かすのが最も影響が小さく、説明もしやすいためです。
| 状況 | 中高生 | 考え方 |
|---|---|---|
| 大人が多い | 0.8(学割あり) | 大人に余裕があるので優遇できる |
| 子供が多い | 1.0(学割なし) | 食べる量は大人と同じ。同額でも筋は通る |
ただし小学生の0.5も、動かしてはいけない数字ではありません。これも目安であって、グループで合意すれば0.3でも0.7でも構いません。大事なのは、どの数字を使うにせよ事前に合意しておくことです。
一度にいくつも動かすと、次回どう決めたか誰も覚えていない状態になります。変えるなら1箇所ずつ、理由を添えて——それだけ守れば十分です。
何歳から取るかは、相談して決める
ここに正解はありません。だから事前に相談してください。この記事で唯一、断定できない部分です。
目安としては小学3年生前後が境界になります。1〜2年生はまだ食べる量が少なく、3年生あたりから増えてくる。ただし個人差が非常に大きいのが実情です。高学年でも小食の子はいますし、低学年でもよく食べる子はいます。
「低学年・高学年で分ける」という決め方もありますが、これだと3年生をどちらに入れるかで毎回迷います。学年で線を引くなら、何年生からと具体的に決めてしまうほうが早いです。
とくに注意が必要なのが低学年
1〜3年生あたりが、一番揉めやすい帯です。理由は2つあります。
ひとつは体格差がそのまま食べる量の差になること。同じ2年生でも、大人の半分近く食べる子と、ウインナー1本で満足する子がいます。学年という基準が、この年代では実態と合いにくいのです。
もうひとつは親の受け取り方が分かれること。「うちの子はまだ小さいのに払うの?」と感じる親もいれば、「うちの子はよく食べるから当然」と考える親もいます。同じ学年でも、家庭によって納得の基準が違います。
だからこの帯は、数字を決める前に必ず聞いてください。「1年生と2年生はどうしようか」と一言相談するだけで、後から不満が出る確率が大きく下がります。
迷ったときは無料に寄せるのが無難です。1人500円の差で気まずくなるより、翌年「うちの子もう結構食べるから、次から払うよ」と言い出しやすい空気を残すほうが、グループは長く続きます。
判断の材料を3つ挙げます。
- 総額が小さいなら、小学生は一律無料でいい — 1人500円の調整のために相談時間を使うほうが高くつきます
- 総額が大きい、人数が多いときだけ学年で分ける — 5家族を超えると金額の差が無視できなくなります
- 迷ったら低いほうに寄せる — 取りすぎるより、取らなすぎるほうが揉めません
そのまま送れる文面を置いておきます。
日曜のBBQ、会費の相談です。子供の会費をこう考えているんだけど、どうかな?
・小学2年生以下:無料
・小学3年生以上:大人の半額
・中高生:大人と同額(食べる量が変わらないので)
・お酒を飲む人:少し多め
特に「3年生から」と「中高生を大人と同じにするか」は迷うところなので、意見があれば聞かせてください。
全部の区分を先に書いてしまうのがポイントです。「何年生から取る?」とだけ聞くと、答えを聞くまで自分の子がどうなるか分かりません。年齢順に並べて示せば、受け取った人はその場で確認できます。
そして金額を決めてから伝えると「なぜうちの子が」という話になりますが、決める前に案として出せば、それは相談になります。返事がなければ、それが合意です。
電卓しかないなら、金額を先に固定する
比率は考え方としては正しいのですが、電卓で計算するには向いていません。その場でやるなら、金額を先に決めてしまう方法があります。
総額20,000円、大人8人(うち飲む人4人)、小学生2人の場合。
- 子供の分を引く:20,000 −(1,000円 × 2人)= 18,000円
- 飲む人の追加分を引く:18,000 −(1,500円 × 4人)= 12,000円
- 残りを大人8人で割る:12,000 ÷ 8 = 1,500円
結果は、飲まない大人1,500円/飲む人3,000円/小学生1,000円。検算すると、1,500×4 + 3,000×4 + 1,000×2 = 20,000円で合います。
引き算2回と割り算1回。これならその場でできます。
正直に書いておくと、この方式だと小学生1,000円は飲まない大人1,500円の67%で、比率0.5より高くなっています。それでも1,000円にするのは、お釣りが出ないからです。数十円の精度より、集金の手間が減るほうが実用的だという判断です。
電卓で追えるのは、ここまで
定額方式は便利ですが、3つの条件で破綻します。
- 総額が変わると比率がずれる — 総額が1万円なら、子供の1,000円は相対的に重くなります
- 立て替えた人が複数いると使えない — 「Aさんが6,200円、Bさんが3,800円払った」という状態から、誰が誰にいくら渡せばいいかは引き算では出ません
- 人数が増えると破綻する — 5家族を超えると、比率と立て替えの組み合わせが暗算の範囲を出ます
そしてここが分岐点です。多くの人はこの段階で「もう均等割りでいいや」と諦めます。その諦めが、記事の最初に書いた「独身や子供のいない人が負担する」状態を生んでいます。公平さを諦めているのではなく、計算を諦めた結果として不公平になっているわけです。
立て替えた金額を入力すると、送金回数が最も少なくなる組み合わせを自動で計算するツールがあります。比率も設定できるので、「小学生は0.5」と決めておけば、あとは金額を入れるだけです。URLを共有すれば参加者全員が同じ内訳を見られるので、なぜこの金額なのかを説明する手間もなくなります。
決めるのは3つだけ
バーベキューの会費で決めるべきことは、3つに絞れます。
- 基準:お酒を飲まない大人を1.0にする
- 線引き:子供は何年生から会費に入れるか(相談して決める)
- 買い出し:誰が何をいくらまで買うか
子供の比率を細かく詰めるより、「何年生から取る?」と一言聞くほうが効きます。
お金の話は、必ず事前に合意を取ってください。比率が正しいかどうかより、全員が「そういうルールだ」と知っていたかどうかが、揉めるかどうかを決めます。同じ金額でも、事前に聞いていれば納得でき、当日に告げられれば不満が残る。金額ではなく順序の問題です。
長い話し合いは要りません。グループLINEに「うちは3年生から取ろうと思うけど、どうかな?」と一言送るだけ。反対が出なければ、それが合意です。
年齢別の比率をもう少し詳しく知りたい場合は、子どもの割り勘は何歳からいくら払うかにまとめています。複数の家庭が集まるイベントの費用分担については、子供の誕生日会の費用は1人いくらかも参考になります。
